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生涯と使命

アドリエンヌ・フォン・シュパイアとハンス・ウルス・フォン・バルタザールの人生は、彼らの共通の使命に照らされていました。それは、祈りの精神をもって神学を刷新し、世の真っ只中にあって神の栄光を称えることに献身する共同体を創設することでした。

共通の使命に向かう二つの道

「月の二つの面のように互いを補い合うべき、二つの使命があるのです。」

アドリエンヌ・フォン・シュパイア

ハンス・ウルス・フォン・バルタザール (1905-1988) とアドリエンヌ・フォン・シュパイア (1902-1967) は、1940年スイスのバーゼルで初めて出会いました。ルツェルン生まれのイエズス会士であり、既にその神学的著作で知られていたバルタザールは、少し前にバーゼルで大学のチャプレンとして働き始めたところでした。アドリエンヌは、スイスのフランス語圏ラ・ショー=ド=フォン生まれであり、スイスで最初の女医の一人でした。彼女はまた、バーゼル大学の歴史学科長ヴェルナー・カエギ教授の妻でもありました。彼女はプロテスタントとして育ちましたが、子供時代よりカトリシズムに惹かれていました。バルタザールとの出会いのおかげで、彼女は決定的な一歩を踏み出すことができ、1940年11月1日、カトリックに転会します。

それを機に、アドリエンヌはたくさんの恩恵を神秘的幻視という形で受けることになります。彼女の聴罪司祭バルタザールが、これらの幻視を教会に伝え、彼女の著作60作以上を編集し、出版しました(彼はこの目的のために出版社Johannes Verlag を設立しました)。アドリエンヌの神秘的幻視は、バルタザール自身の著作をも豊かにしました。彼の著作は115作にもなり、20世紀で最も重要な神学者の一人としての彼の名声を確立しました。ヨーゼフ・ラツィンガー(教皇ベネディクト16世)はバルタザールについて、「彼は、信仰について教えていることにおいて正しい…私たちにキリストを教え、私たちに生きることを教える御言葉の証人である」と言っています。1945年、バルタザールとアドリエンヌは聖ヨハネ共同体を共同で設立しました。これは、この世の只中にありながら神に奉献された生活を送る司祭と信徒のための在俗会(Secular Institute)です。

アドリエンヌ・フォン・シュパイアとハンス・ウルス・フォン・バルタザール、スイス、カッシーナ・ダーニョにて、1950年

アドリエンヌ・フォン・シュパイアとハンス・ウルス・フォン・バルタザール、スイスのカッシーナ・ダーニョにて 1946年頃

使命

バルタザールによれば、共通の使命の最も重要な目的は、「すべての実り豊かさの源である十字架のみに基づいて、聖イグナチオのように世に対して開かれること」です。聖イグナチオ ・デ・ロヨラこそ、今日痛切に必要とされる使命の守護者であり教師であると、バルタザールは信じていました。すなわち、ポスト・キリスト教的世界に残りながら、三位一体の神秘という無尽蔵の豊かさを引き出すという使命です。

聖イグナチオは、十字架の下でマリアの隣に立っていた模範的「イエスの仲間」、すなわち使徒ヨハネの人格の中に、理想を見出しました。使徒ヨハネは、十字架上で死なれて陰府に降られるに至った御子の完璧な従順の内に、三位一体の愛の究極の顕れと深遠な希望の源を見出したからです。東方正教会の伝統でヨハネを「神学者イオアン」と呼ぶのは決して偶然ではありません。使徒ヨハネこそは、ただ観想と礼拝と奉仕の態度においてのみ神学は存在し得るということの生きた証なのです。

「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」「見なさい。あなたの母です」十字架にかかりながらそう言われたイエスは、十字架の下で教会の最初の貞潔の礎を築かれました。このため、バルタザールとアドリエンヌは、貞潔・清貧・従順という福音的勧告における奉献に、中心的役割を与えます。彼らによれば、福音的勧告のおかげで、キリスト者はキリストの完全な自己献呈に従うことができ、またそのようにして、世の只中にありながらもペトロとその後継者が導く教会の中心を捨て去ることなく、エウカリスティアの精神を体現することができるのです。

バルタザールとアドリエンヌによれば、聖母マリア、使徒ペトロ、使徒ヨハネ、聖イグナチオ・デ・ロヨラという四人の聖人が、私たちに贖いとは何かをありのままに見せてくれます。つまりそれは、被造物そのものの元々の真・善・美の回復であり頂点です。バルタザールとアドリエンヌにとっては、十字架につけられたキリストは、単なる後付けではなく、世界の礎の前に捧げられた小羊です。キリストの光においてこそ、私たちはすべてのものの中に(とりわけ、私たちの苦難と傷ついた兄弟姉妹たちの中に)神を再び探して見出すことができるのだ、と二人は断言します。

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